東京朝市 アースデイマーケット EarthDayMarket

僕たちの表現する安全 〜事務局長より

ここに書かせて頂くのは、アースデイマーケットの今であり、生産者と消費者への一つの提案です。

日本の近代で言うところの有機農業は、1970年にそれまでの公害問題、農薬の複合汚染に対して、食の安全を守るため消費者、研究者、生産者たちが一緒につくりあげてきた概念だったそうです。いわば安全への提言を農業の名の下に行った取り組みでした。

2006年4月に始まった東京朝市・アースデイマーケットは、環境共生型の農業を行う小規模な農家さんを応援することを目的に、手作り、オーガニック、フェアトレード、リサイクル、地域通貨アースデイマネー、都市農村交流などさまざまな提案を行ってきました。
目指すのは4月22日だけでなく、毎日をアースデイにすること。
日々、地球のことを考え行動していくためのきっかけを作るマーケットでした。
過去いくつもあった大きな社会問題に誰よりも積極的に反応し、それ故に今の生業を選んだ方々が僕らの出店者であり、仲間です。
そしてこの1年、すべての人を悩ませ、怯えさせるに十分な、大きな問題が立ち上がりました。
出店者さんたちは個別で放射能物質の検査をじゅんぐり行っています。
ほとんどの結果が検出されずです。実は昨春以降個別にずっと続けています。
僕ら運営側として何かしらの見解を出せなかったのは、不甲斐ないばかりですが、資金的な理由だけなく、生産者と消費者のどちらの立場にも近い僕らが揺れていたということも理由の一つです。我々の仲間は原発の問題が起きるずっと前から地で安 全安心をいく方々です。そんな農家さんたち自身が、味で比べられたり、育て方で違いを表現することはともかく、原発の被害が風向きで決まるこの理不尽な状況下で、不可避な差が出ることに関して、抵抗を持ってくれたからです。自分さえ良ければと、より南の、より西の生産者さんが、そのことで差 をつけるような表現をすることも行なわれませんでした。彼らは仲間であり、そしてお互いに真のライバルなのだなと感じた瞬間でした。農家の敵は農家という 言葉があるそうです。ですが、アースデイマーケットの農家さんは、苗がうまくいかなければ譲り合い、種を交換し合い、お互いの技を冗談混じりに伝えあう、良きライバルです。
いま、この情報を書いているのはその検査結果から一応の状況が掴めたからです。

自治体の検査や地域生協の検査結果を頼りにしている人もいますが、個人的に厳しい検査機関に依頼している人たちもいます。
いまのところ、検査結果は、検出されずがほとんど。ほんとうにたまに数ベクレルくらい出るだけ。僕も胸を撫で下ろしています。個別に生産者のブースを尋ねれば、みな自分のところのデータや見解を教えてくれます。

1つ100〜200円くらいの野菜を、天候や自然に許される限り、作れるだけ販売している個人の農家さんには、1検体10,000円も20,000円もするその費用は馬鹿にならないはずです。1検体を農家さんが計るために彼らはどれだけの野菜を売らなければいけないかは、少し計算すればわかるコストです。しかも彼らのほとんどが、農薬を使わない選択をし、旬の野菜セットをお客さんに届けるために年間50品目前後の作物を作っている少量多品目の栽培を続けている方々が多くを占めます。季節ごとに、ぜんぶ計るなんてことはとてもできません。いろいろな情報を集め、特に移行し易いと言われているいくつかのものを計ったり、土を計り作物への移行係数を試算して対応されています。
元が無農薬にこだわり、遺伝子組み換えにNOを唱え、在来種、固定種、そして種採りまで行い、収益のために生命を奪う論理を用いず、生命を繋げる論理で自然の恵を我々にもたらしてくれる人たちです。安心安全へのまなざし、その取り組みに脱帽しています。

当然のことですが、ここには安全を自分の事、家族の事として取組んでいる仲間がいます。彼らの多くには小さいお子さんがいます。そして大規模な農地を保有している訳ではありません。お客さんに売るものと同じものを食べています。
引き続きチェックをし続け、本当は恐ろしい農薬の複合汚染もフリーなこの農家さんたちを応援し、僕たちの食卓を守り、そして農地由来の(ほんとうに無数の)生物多様性を維持していくために、ぜひアースデイマーケットの農家さんたちを応援してください。
僕は保証します。ここにいる農家さんたちは2006年 から約6年間もの間、マーケットでお客さんの笑顔や、お客さんの「美味しい」に支えられ、互いに情報交換をし合い、今日のお客さんと明日の畑で共に汗をかき、彼らや彼らの家族の食べているのと同じ野菜をシェアしてきた仲間です。東京と農村、物理的な距離は離れています。ただ、彼らと彼らが真心を込めて作った旬の美味しさがある限り、僕らの食卓は離れてはいません。そしてこの食卓は常に笑顔で新たな仲間を迎えたいと思っています。これがアースデイマーケットです。
2012年の代々木公園の初マーケットは、1/29(日)です。
新たなる安全、新たなる気づき、新たなる楽しい繋がりへの船出です。
ぜひこれからのアースデイマーケットを一緒に作っていきましょう!

1月の開催後には、こどもみらい測定所さまのご協力を得て、 マーケットとして第一回の測定を行います。

くわしくはまたご報告致します。

アースデイマーケット実行委員会 事務局長 冨山普

2012年01月25日 18:14:53