先日、お話したアースデイマーケットの農家さん、自然村たなごころ 〜掌〜 さんのところで第一回目の草刈りをして来ました。
この日刈ったのはもう何年も放置された田んぼ約9畝(せ)分。背丈より高いススキを始め、本当に一日で終わるのだろうか?という状況でした。
大人3人で草刈りを振るう中、6歳、4歳、2歳の子供たちはおおはしゃぎ。早速、里山の沢から流れる流れに住む沢ガニを捕まえ始めました。
この里山の下からは豊富な湧き水が湧いています。湧き水という言葉の響きだけでそこに水を豊富に蓄えられる森があることがわかります。ずっと昔から手を入れられてきた里山。その麓の田んぼを使える喜びが湧いてきました。この田んぼの上の里山の中腹にはなんとも古そうなお寺があります。満願寺という名前で、大イチョウの落ち葉が黄色の絨毯を作っていました。
本堂には古い伊勢神宮の写真が幾つも飾ってありました。来年ここで作るお米がイセヒカリという品種だということもあり、良い縁を感じました。
どんどん刈り進めていくと、珍客が!
アカガエルです。本当に真っ赤!お腹まで赤いので、ちょっと恥ずかしそうですが、ひっくり返して撮影させて頂きました。アカガエルとして一般的なものはニホンアカガエルとヤマアカガエルがいて、とても似ているためどちらかわかりませんが、平野に近い環境にいることからたなごころさんはニホンアカガエルでは無いか?と話します。近年数が激減して来ているそうです。理由は産卵場所の不足。湿地や水のあるところで1月〜3月の間に繁殖をするのですが、この間田んぼに水があるか無いかで産卵場所の規模が変わってきます。たなごころさんのところでは冬ば田んぼに水を張るので、春にはこのカエルが大合唱!たくさんの害虫を捕食してくれるので、とっても頼もしい味方です。「ぼくらの田んぼでもいっぱい卵を産んでくれ〜」と頼んでおきました。持ちつ持たれつ、可愛いパートナーです。この他にも水を張り次第、無数の藻類、草が生えにくくする為のトロトロ層を作ってくれるイトミミズたち、ドジョウ、たくさんの虫、それらを食べに飛来する渡り鳥たち、そして稲を植えた後はたくさんのクモ。そしてお米が大好物のカメムシさん。捕食し合うことで、一種類だけの害虫や病気になるのを絶妙に抑えてくれることを期待します。
彼らがたくさんたくさん来ることで、僕らの田んぼはお米を実らせていくそうです。無数の彼らの存在有っての稲作です。お米1粒には88人の神様がいると言いますが、冗談抜きでちょうどそれくらいいる気がします。
半日、草刈り機を振るうと手が笑ってしまいました。痺れるともまた違った笑う感じです。自分たちで刈ったので、刈り終わった田んぼのなんとも盛観なこと。
心地よい達成感の中、沈む夕日を見ながらこんなことを考えました。
前回書いた、「国内自給率」という言葉を、一歩身近に感じる為の「家庭内自給率」アップに取組み初めて、殺虫剤などの農薬や、除草剤、化学肥料などに頼らなくても、生き物たちの住処を借りて、一緒にお米作りをする「生物多様性」ならぬ「生物を多用性」でやっていける気がしました。
一時的に草の命を奪ってしまいましたが、彼らの窒素分を利用して、安全な羊水のような田んぼでお米を作ることでオフセットしていきたいです。