今週末の予定に胸が高鳴る。
アースデイマーケットの農家さんの一軒と最近親しくなり、ここで来年、田んぼを借りれることになった。 農家さんの名前は自然村たなごころ 〜掌〜さん。千葉県香取郡東庄村の不耕起、冬水田んぼのお米農家さん。
不耕起とは、田んぼを耕さないこと。そうすることで、土を割ろうとがんばった根っこから成長ホルモンが出て、強い稲が育つ。また年々根っこが開けていった穴が増えていき、耕さなくてもそこがスポンジ状になって保水や水はけがちょうど良くなるらしい。冬水田んぼは冬季湛水とも言うらしい。冬場田んぼに水を張ることで、そこに生態系の温床を作りだし、バクテリアや虫を含む小動物からそれらを食べる越冬の水鳥までがここを一冬かけて、豊かな土壌に変えていく。イトミミズがとろとろの層を作りだし、雑草も生えにくくする。こんな自然と協調した農法をされている農家さんだ。
ここに訪れた時、耕作放棄された田んぼを見せていただいた。ここの脇は里山になっていてそこからとうとうと流れる湧き水が流れている。この水を使わない手は無い。こうして、この場所を復活させる話しが立ち上がった。
日本ではどんどん田んぼが減っていく。食料自給率をあげようという取組の傍ら、国策で大豆などを育てる助成金が消えていく。 日本の田んぼが効率化を優先され、野菜工場や世界でも問題になっているメガファームが増えれば、食べ物が口だけに届いて、心には届かない者にどんどん遠く離れていってしまうような気がする。
僕は思う。国内食料自給率を上げることを、身近にする方法は食べ物の現場と近づくことだと。
釣りに行ったり、土に触れ、野山に登り、食べ物を育む自然そのものや生産者の声に耳を 傾けることじゃないかと。
家庭内自給率(縁故から貰ったり買ったりしたものも含む)もしくは、世帯内自給率を上げれば、国内自給率は気にしなくてよくなるんじゃないかと漠と思う。
来年始める田んぼはいま雑草が生い茂っている。今週末これを刈りにいく。刈ったまま敷いてこれもゆくゆく肥やしにする。仲間に呼びかけて、7世帯10人で取り組むことになった。大人になってどうも遊びの幅が減ったことを悲しく感じていたが、来年は泥まみれ汗まみれで、仲間と笑顔の花を咲かせられる。そんなところも嬉しい。稲も花咲き上々の出来であれば、来年〜再来年に我が家で食べるお米の半量がここで収穫できる。天に祈り、農家さんの声を聞こう。
マーケットに来てくれる人にも、ゆっくり農家さんたちとお付き合いして行く中で、おいしい自分だけの自給率を上げていって欲しい。魅力的な農家さんが集ってくれるマーケットから、その魅力的な農家さんのいる美しく魅力的な農村を感じるきっかけを見つけて欲しい。
自分の食べ物と近く繋がるという考えが広がれば広がるほど、農家さんも喜ぶ素敵な時代が近づくはず。切迫感のある数字は捨てよう。休日までそんな数字を気にすることは無い。稲についた数えきれない幸せや、自然の中で育まれる多くの生命を楽しみにしよう。