東京朝市 アースデイマーケット EarthDayMarket

黙々と

先日の土曜日。雨の降る中、千葉県成田市の荒れた竹林に男女6人が集った。

手には軍手、持つのはノコギリとナタ。

黙々と竹を切り出していく。気心の知れたメンバーだからか、

本当に一言二言を交わしながら竹を切り出して行く。

ある者はあるサイズの竹にマークをつけていき、

ある者はそれを切っていく、

ある者は余分な枝や葉を落とし、長さを揃え、

僕は枯れた竹や密集した竹を間引いていった。

竹林を黙々と見て行くと、青々とした1年目の竹、少し落ちつき生気を放つ2年目の竹、見た目で堅さが伝わるそれ以降の竹、枯れた竹のまだらのある黄土色の様子も、虫の食った穴も、柔らかい土も朽ち木に生えた種々のキノコも、少し日の光の入る場所に生えたまだ幼い樹木も全てが美しく見えて来る。

そこで見える自然の象形は美しく驚かされる。美しくはあるが、竹を見て竹林を見ずという言葉では無いが、注意深く見て行くと素人の僕にもどこをどうすれば、より全体として整って元気のある竹林になるかがわかってくる。

それは人と自然が良い関係を築いていたあるべき姿に戻していく作業の様にも思えた。自然に人の力を加えて良い事など起きるのか?という印象もあるが、野放しにしているよ り、より良い関係を結べる。そんな気が竹林から感じ取れた。いま日本の人工林も外材の影響で放棄せざるを得ない状況の元、荒れている。

そうこうしているうちに荒れた竹林は人がいる周りから、見違えるように奇麗に整備されていく。反面雨は止んだが、竹から伝う雫でカラダは濡れていく。それでもだんだん暑くなり皆、合羽の中の上着を脱ぎ、また作業に移る。竹林の静けさの中、6人の背中が黙々と熱を帯びていく。

アースデイマーケットの代名詞でもある竹テントは、代々木公園にデビューして来春で4年目を迎える。共に風雨の中を 歩んだ竹テントの増産がこうしてこの日始まったのだ。代々木で月1という開催も場所を増やし、少しずつ広がって来た。これからも増えるだろう。その為の増産であり、今迄の竹テント1台1台の負担軽減にも繋げる為の増産だ。

マーケットが始まった2006年から数えて、来春で5年目。黙々と進んでいる。一番出店回数が多い農家さんは65回の出店を数えている。黙々と田畑から生を生み出し、黙々と都会に売りに来て、黙々と手から手へ、人から人へ、心から心へ、大切な食べ物を渡していく。

雨降る竹林の中で七輪と鉄瓶で沸かした湯でお茶を飲み、今回増産される竹テントが、また都市と農村が出会う舞台になっていくと思いを馳せ、黙々の仲間入りをした気分になった。

アースデイマーケット実行委員会 冨山 普

2009年11月16日 18:56:55