二十四節季で清明のころ。
澄みわたる春空のもと、花の匂いにくすぐられ、縮こまる体と気持ちがひらく。
段階を経て、アブラナの花、スミレ、桜と少しずつ少しずつ。
そろそろ筍の季節。竹冠に旬。旬とは10日を意味する語らしいが、筍自体は数珠つなぎに生えてくるので最寄りの竹藪に入るコネがあれば丸一月ほど楽しめる。
自分は茨城に近い千葉に住む土地柄、親戚の竹林に整備にかこつけて筍狩り行かせて貰う。イチゴ狩り、松茸狩り、紅葉狩り、脚の無い植物に狩るという言葉を使いたがるのは、旬という極めて短い季節がもつ印象が、野生の獣のようなさっと走り去ってしまうのを逃すまいという心境からだろうか。去年はたしか18本採って、友人、親戚、好きな串揚げ屋なんかに送り、それでも1週間、最後には恨み言まで飛び出し、もう暫く見たくも無いという風に手を変え品を変え、食べた切ったのだった。
昨日いわゆるデパ地下で、柔らかい先の方を水煮した4分の1片が1000円近くで売られていた。昨年、最後には恨み言まで出たにっくきアイツは総額7万2千円だったのか。と驚いてしまうと同時に竹と四季に感謝する。
竹冠の漢字は1000を超え、中、高校を対象にした新漢和辞典にも160字、その8割が生活に関わる意味をもった字だという。
そんな竹とアースデイマーケットと言えば竹テントであり、バンブーファクトリーさん。竹林整備をしつつ、間伐竹でクラフトを制作してゆく、マーケットでのワークショップも人気で最近は廃スピーカーをリメイクした竹枠のスピーカーで注目を集めている。また竹にはリグニンという植物にとってのカルシウムのようなものが入っているらしく、堆肥化がうまくいけば、しっかりした野菜が育つかもしれないと千葉の出店農家さん東峰べじたぶるんさんも話していた。
あれほど飽きていた筍も、忘れっぽい性格のおかげで1年経つとまた土から顔を出すのが楽しみで仕方がない。今年はまずうまい醤油を垂らしつつ焼いて食べてみようと思う。
(事務局・冨山普)